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出版業界について

最近「出版業界は斜陽産業」というコラムを読みました。

 

出版業界が厳しい状況であることは大多数の方がご存知でしょう。
実際出版業界の売り上げは20年以上下がり続け、全盛期である1996年の約52%まで落ち込み1兆3000億ほどです。
町の本屋さんが姿を消し、書店の無い市区町村があるぐらいです。

 

でも1兆3000億も売上があれば儲かっているのでは?と思いますよね。
日本の出版業界は「出版社→取次→書店」という業界3社によって形成されています。
つまり1,000円の本を1冊本屋さんで購入してもその収益がすべて書店に行くわけではありません。書店の売り上げは200円ほどです。800円で仕入れたものを1,000円で販売して200円の利益を上げる、まさに薄利多売ですよね。

 

(このシステムが成り立つ理由は「再販制度」や「委託制度」など出版業界特有の制度によるものです。これについてはまた別の機会に……。)

 

「なぜ売り上げがそんなに下がっているのか」
今回は5つに絞ってお話します。

  • 読書人口の減少
  • 電子書籍の台頭
  • コスト管理問題
  • 娯楽の多様性
  • 違法webサイト

 

  • 読書人口の減少

昨今若者の○○離れという言葉をよく耳にしませんか?
車離れ・タバコ離れ・お酒離れなど
最近の若者は内向的でお金を使わず、保守的で活力が無いとまで言われます。
現在24歳の私もタバコは吸いませんし、お酒もあまり飲みません。マイカーも所有していません。

 

この若者の○○離れの中で「若者の読書離れ」も注目されています。
全国大学生協連が実施した第53回学生生活実態調査の報告によると
アンケート回収数10,021票の内
一日の読書時間が0分への回答が53.1%と半数を超える結果になりました。

現代の大学生は全員がスマートフォンを持ち、SNSやアプリをすることが当たり前になっています。
そして学校終わりにはアルバイトをして週末はサークルや友人と遊びにいく。
読書をするという考えは毛頭ないのかもしれません。

 

  • 電子書籍の台頭

AmazonのKindleや楽天koboなど代表格でしょうか
確かに電車に乗るとタブレットやスマートフォン片手に小説やコミックを読んでいる方が多く見られます。
ひと昔前に比べてジャンプやマガジンを読んでいる人がめっきり減った気がします。

 

売上で見ると昨年2017年の電子書籍の売り上げは2,215億円です。
紙の本に比べると少なく感じますが前年比を見ると16.0%増とすごい伸び率です。
電子書籍がまだまだ伸びていくのか、紙の本への回帰が進むか出版業界を左右する要因になります。

 

  • コスト管理問題

出版業界におけるコスト。と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?
紙の費用、印刷代、製本代。
もちろんこれらは無視できないものですが
それ以上に無視できないものが「人件費」と「輸送コスト」の2つです。

 

「人件費」

書店に限らず経営者はアルバイトやパートに助けられるものです。
社員に比べて安い賃金で週3日から5日シフトを埋めてくれる、願ったり叶ったりですよね。
ですが労働に対する見直しが実施されている昨今、最低賃金も年々上がっています。

つまり、これまでよりも従業員を雇うのに金が必要になってきた。しかし、お店の売上は落ちている。経営が厳しくなるのも当然ですよね。

「輸送費」
昨年末ごろから運送会社のブラックな実態が発覚し問題となりました
労働環境の改善のために各運送会社では送料の値上げが実施されました。
運送業界と出版業界。一見関りの薄そうな業界ですが、実は密接に関係しています。

冒頭にもお伝えした通り、出版業界は3社からできています。当然本も3社間を移動します。
本の動きを表すと、下のようになります。
出版社→取次→書店⇒取次⇒出版社
出版社から書店に行った本がまた出版社に?と思うかもしれませんが

→…この矢印は商品を届ける送品
⇒…この矢印は商品を返す返品です

つまり本の輸送には4種類があり、それぞれの運賃が値上がりしたと考えれば業界全体としてのコスト問題がわかります。

 

  • 娯楽の多様性

先述したこともありますがご了承ください。
皆さんは移動の電車内、仕事や学校の休み時間、家に帰ってから寝るまで、休みの日
どんなことをしてお過ごしでしょうか?
気になる人とラインをしたり、友達と出かけて写真をSNSに投稿したり。
スマホアプリやテレビゲームに熱中する人
様々な時間の過ごし方があるかと思います。

 

でも10年前を思い出すとどうでしょうか?
スマートフォンは普及していない、当然SNSやアプリもない。
それが当たり前でした、今の時代を想像できた人は少ないでしょう。
当時は娯楽の中で優先順位の高かった読書を今では候補にあげない人も少なくないでしょう。
いろんな遊びが登場したがために「読書」というものが娯楽の中から淘汰されつつあるのかもしれません。

 

  • 違法WEBサイト

社会的な問題にもなった違法WEBサイト、世に流通する本のほとんどが読めるものでしたが、問題視する意見が強まり無事に閉鎖となりました。

はっきり言って人間ですから、有料で手にしていたものが無料で手に入ると言われればそっちになびきますよね。
それは仕方のないことだと思います。

ですが、当然有料で購入をしなければ作者や書店に売り上げは入りません。
これから先恐らく新しい違法サイトが出てくるでしょう。

ですがその時にどういう選択をするのか「有料」か「無料」か読者の選択に業界の存続がゆだねられるかもしれません。

 

 

最後まで読んで頂いた方、ありがとうございます。
出版業界の抱える問題や現状について書きましたが、あくまでしがない読書好き個人の所感です。
これが全てではありませんので、ご理解ください。

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