⑱竜馬がゆく 2巻
第2巻は竜馬24歳から29歳頃の物語です。
安政の大獄が始まり、井伊直弼が桜田門外にて暗殺されるなど歴史的な大事件が起こります。
その中で、若者たちは幕府を倒すためにそれぞれのやり方で奔走するのでした。
もちろん、坂本竜馬もその内の一人。竜馬はついに脱藩を決行します。
薄ぼんやりの竜馬
この当時の日本の政界、論壇は開国と攘夷、幕府と朝廷、将軍継嗣問題などで割れるような騒ぎだった。
後の維新の元勲といわれる西郷隆盛はすでに江戸と今日で活躍中であり
桂小五郎は海防問題に興味を持ち、主君に献策したり、洋式砲術を学んだりしている。
この二人と竜馬を含む三人は維新史の立役者だが、当時竜馬は何もしていない。
司馬遼太郎はこの竜馬を
薄ぼんやりで、時代の立役者になる芝居稽古もしていない。と記しています。
維新史の脚本家、宣伝部長「吉田松陰」
坂本竜馬、西郷隆盛、桂小五郎を維新史の「役者」と言うなら。
脚本家、宣伝部長となる人物もまた、存在しています。
その最大の一人が「長州の吉田松陰」です。
ペリーが黒船に乗り来航した時、松陰は小舟を漕ぎ出して海外渡航を企てました。
結果米艦の方から断られ、江戸伝馬町の獄に入れられます。
その後、囚人として長州の獄におくられ、三年間監禁されています。
この間松下村塾で弟子を教え、この中から桂小五郎、高杉晋作、伊藤博文など多くの人物を輩出します。
竜馬と学問
これまで学問と縁のなかった竜馬も、人と議論をしたり、考えたりするときに用語が少なくてこまる。
ということで、学問を始めます。
「わしはの、学問をするんじゃ。なんぞよい本はないか」竜馬に言われた武市は、それは結構と普通なら調子を合わせるところだが、そうは言わない。
「その年で学問とは、と感服している。しかしほどほどがよかろうな」
「なぜじゃ」
「お前の生まれつきの珍しさが、学問でうすれるかもしれぬ」
竜馬が学問をすることで、独創的な発想が失われるのではないか。と武市は心配したのでした。
それでも「歴史を読め」と竜馬に勧めます。
「本を読むには師匠が要るぞ」と武市が助言をすると
「師匠?そんなものが要るのか?教われば半平太と似た人間ができてしまう。」
と師匠を持つことを拒否し、独学で学問を始めるのでした。
何とも竜馬らしい(笑)
そんな竜馬を面白がって、若侍数人が本を読んでみろ。とからかってみると。
竜馬が始めた音読が無茶で無我で意味も通らない、経をとなえているようで
皆顔を真っ赤にして笑いをこらえ始めます。
「竜馬、それでは意味がわかるまい」と聞くと
「意味ならわかる。まあ、そこで聞け」と返す竜馬
すると、二時間に渡り漢の高祖劉邦の話をはじめ
それが合っていることにだんだんと気味が悪くなり、竜馬を止めるのでした。
なぜこんなことができるのか?
竜馬が言うには
まさしく天才ですね(笑)常人には理解不能な感性で学問を自分のものにするのでした。
竜馬の脱藩と二人の姉
倒幕に向けて時代が激しく動く中で、武市と竜馬は全く別の方法で日本を変えようとします。
武市は土佐の参政吉田東洋を斬り、土佐の内側から変えていこうと決意。
一方竜馬は土佐に見切りをつけて脱藩を決意します。
竜馬にとって脱藩のその先には、ひろびろした青空のような人生が待っていそうな気がしてならない。
武市が企てる東洋暗殺と全藩勤王は竜馬にとって成しえない夢としか思えず。
また、武市も竜馬に加わって欲しいという思いがありながらも、反対だと知っているから一切の協力は求めない。
それでも東洋暗殺計画は順調に進んでいくのでした。
竜馬は脱藩を決意するも、その後残された家族のことを考えると実行に移せずにいました。
しかし、姉の乙女に会い胸中を明かすと乙女は
「竜馬は男の子ですから、それが正しいと思えば、断乎としてやるべきでしょう。」
と脱藩を後押しします。
それでも竜馬が、残された乙女と夫の新輔が罰を受けてしまうことを心配すると
「男なら、いったん決心したことは、とやかくいわずにやりとげるものです。私が竜馬でも、脱藩します。」
と再度後押しするのでした。
乙女の後押しもあり、竜馬は脱藩を強く決意するのでした。
脱藩をするなら金と刀が欲しいと悩む竜馬。
親戚に相談するも、脱藩させないために誰も聞く耳持たず。
その竜馬を助けたのがもう一人の姉、お栄。
お栄は離縁をして坂本家に戻った身分で、その際に形見として刀を貰っており
それを旅立つ竜馬へ渡すのでした。
二人の姉の後押しもあり、竜馬の脱藩は成功しますが。
新輔に罰が加わることを恐れた乙女は離縁。
形見の刀を渡したことで咎められたお栄は自殺。
竜馬の脱藩は達成するも、その陰でこれまで竜馬を支え続けた二人の姉が不幸になるのでした。
竜馬の脱藩から約一か月後、武市が企てた東洋暗殺計画が
那須慎吾、安岡嘉助、大石団蔵三人の刺客の手によって成し遂げられるのでした。
そして、暗殺よりも一か月前に脱藩していた竜馬が、暗殺の犯人として追われる身となります。
まとめ
2巻の内容はとても密度が濃く、どれを書こうと悩んでいる内に文字数がどんどん増えていきました(笑)
倒幕に向けて若者が活躍する中、晩熟の竜馬はやっと脱藩します。
しかし、最愛の姉二人が不幸となり、親友半平太とは別の道を歩むことになります。
それでもなお、竜馬は自由に生きたい。日本を変えたいと望んだのでしょう。
そんな竜馬の雄姿を見ていると、日々の小さな悩みにくよくよしている自分がとてもちっぽけに感じました。
竜馬に様にひろびろとした大空を生きるつもりで、毎日過ごしていきたいです(笑)
最後まで読んで頂いたかたありがとうございます!
これからもよろしくお願い致します!